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【見えない世界の話】ひな祭り

あつきあつき「先生、ひなあられ買ってきました!最近のは可愛いのが多いんですよね~♪」

梵「ひな祭りと言えば、あられですもんねぇ。って、お雛様本体はスルーなんですか?」

あつき「あは、飾るのも手間で、つい食い気に走ります」

梵「奇数が続く日は、大抵エネルギーが強い日だということで、邪気祓いの儀式をやるのが通例です。で、お雛様も基本的には、邪気祓いが目的で始まってるんですよ」

あつき「聞いたことがあります。なんでしたっけ、白酒で女子力を上げて…いや、違いますね」

梵「ちょっと違いますね(笑)夏越の大祓や年末の大祓で登場する『ヒトガタ』ってあるじゃないですか。撫でて息を吹きかけ、自分の厄を移してから神社でお焚き上げしていただき、固まった邪気をほぐして散らしていく儀式で重要な、あの紙。あれの原型が、雛人形なんですよ」

梵「なので、昔は『流し雛』といって、厄を乗せた小さな人形を藁船の上に乗せて、川に流して厄落としする儀式をしていたんです。陽気の強い日に、邪気を体から離していく。『水に流す』なんていう言葉も、流れる川の向こう側に消えていく流し雛を想像していただけると、本気で全て手離してしまうことなんだと、しみじみ納得できますよね」

梵「そもそも流水にも邪気祓いの力があると信じられているので、神社などの手水も龍や亀の口から流れ出る仕組みになっているところ、多いですし」

梵「それを補うために一緒に飾るのが、橘や桃といった厄除け効果が高いとされる植物であり、また、それらとともに人の喜びを喚起し、鮮やかな色合いとの合わせ技で邪気を遠ざけるために、白酒やひなあられを飲食する習慣もできたと」

あつき「私が手に入れたひなあられも、邪気祓いの一環なんですね!なんだか感慨深いです」

梵「文化の奥深さという感じですよね。実際、その他の日常的な厄落としとしても、お風呂に塩やお酒を入れたり、シャワーを長めに頭からかぶったり、手軽なものが結構あります」

梵「節分なら豆をまき、七夕には笹を飾って、祈りと願いを儀式によって現実に落とし込んでいこうとする。人生というのは古来大変なものだったからこそ、先人たちは少しでも楽しく、豊かな心で日々を過ごそうと様々な工夫として儀式を用いてきたのですね」

梵「ちなみに3という数字は、そよぎ流に解釈すると『純粋に楽しむ』という意味になります。なので、3月3日は純粋に楽しむ気持ちを大切に、細かいことで目くじらを立てずに過ごせると、一層効果的に邪気祓いできますよ」

あつき「わかりました!美味しいひなあられをみんなで食べながら、ニコニコ過ごすようにします!」

まとめ

  • ひな祭りは「邪気祓い」の儀式
  • どうせならスルーせず楽しみながら邪気を祓えるとベスト