食養生 〜わたしたちのイマドキごはん〜

梵恵

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夏至の巻

☆☆夏至の巻☆☆
 とうとう、陽気MAXの夏至がやってきました。が、まだ梅雨の最中だし、陽気がMAXと言われましても、とテンションが落ちてしまうかも。それに「夏に至る」とは言え暑くなるのはこれからで、何だか節気と季節とのズレを感じて仕方ないのですが、と、テンションが下がりついでに、もう一つの不満を思い出してしまう方もいらっしゃるかもしれません。
 そのことを理解するため、もう一度、二十四節気がどういうものか、思い出しておきましょう。まず「夏至」。夏至になった日から、次の節気が来る前日までの「期間」を指します。だから「夏至の日」があって、普通の日が続いて、「小暑の日」が来る、という並びではないんですね。二週間なら二週間、ずっとその節気が続いているんです。
 更に、例えば立春。いきなり春がドカンとやってきた感覚にはならないですよね。立春の初日に、陰気と陽気のバランスが春にふさわしい状態になります。そして次の節気までの期間で徐々に陽気が増え、次の節気である雨水を迎える頃には少し春めいて来たね、と感じられるようになるわけです。
啓蟄も、その日に冬眠していた虫が全員、登場するイメージではありません。陽気の増加を感じて、身体を動かすのに必要なエネルギーが溜まった虫からボチボチ外に出てきて、大体二週間くらい後には出揃うかな、という感じ。
 つまり、節気の役割は「ここでいきなり様子が変わります」と知らせることではなく「ここから徐々に、そういう様子に変化していきます」と知らせる標(しるべ)。実際、夏至の後の節気が小暑、大書と続くことを考えても、MAXになった陽気が現実的な熱として世間に充満するまでには、半月~1ヶ月程度のラグがあると考えられます。
 そして、前回も登場した湿気の影響までをひっくるめて考えた場合、徐々に暑くなる以上、身体を温める食材は向きませんが、夏至だから冷やす一辺倒の食養で、とはなりませんよね。なので、この段階ではまだ、きゅうり、トマト、ゴーヤ、すいかを先取りしてたくさん食べることはしないでください。相当冷えます。
 今回のお役立ち食材、というか飲料は、ウーロン茶。中華料理との相性がよく、脂の分解に良い辺りの効能は皆さんもご存知だと思いますが、弱りがちな脾胃を助けるように消化を促進し、滞りがちな水分の排出作用がある上、気持ちを落ち着けて安心させてくれる作用もあるのです。性質も、多少涼しくしてくれる程度で、ガンガン冷やすほどではありません。
 ちなみに、最近脂肪を燃焼させる系の成分が入ったお茶が大ブレイク中ですが、脂肪を燃焼させる作用は、体内での熱の発生につながります。冬場なら問題ないと思いますが、これから立秋を迎えるまでの間は、放っておいても熱がこもりやすくなる時期。食養生では解暑、つまり暑さを体内から解放するものを食べるのが自然なので、できればこの時期、強制的に代謝を上げるようなものは、避けた方が無難です。
 世界が一番明るい時期。晴れ間が出れば、一年の間で一番、空を近く感じられる時です。気分が落ちている時に無理をする必要はありませんが、伸びやかな空の青と鮮やかな雲の白とを楽しむ余裕、できる限り持てるといいですよね。そして、雨天の時は雨天なりの楽しみを、一層しなやかに探していきましょう。

 (出典:日本中医食養学会編纂「食物性味表」改訂2版)