食養生 〜わたしたちのイマドキごはん〜

梵恵

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小暑の巻

★☆小暑の巻☆★
 七夕の節句と共に訪れることの多い、小暑。そして七夕といえば、子どもの頃には「笹の葉さ~らさら」で始まる歌、軒先に飾られた笹、願いごとを書く短冊を楽しみながら、織姫と彦星が再会できるといいな、なんて思っていた方も、多いのではないでしょうか。
 雨になると会えないという話も、今となっては「雲の上は雨が降らないんだから、毎年会えているのでは」と邪推してしまい、オトナになるって現実的になるってことか、と苦笑いの出ることもありましたが、七夕の節句は元々「乞巧奠(きこうでん)」という中国の行事で、裁縫や手芸の上達を願う行事。実は最初から、現実的な目標の祈願イベントだったのです。
 既に奈良時代には日本に伝来し、日本の諸行事と合体して今に続く節句なのですが、伝来から時間が経っているせいか、七夕伝説となると驚くほど、いくつも出てきます。これを追いかけていると紙面がいくらあっても足りないので省略して、もう一つ、半夏生(はんげしょう)の話をしておきたいと思います。
 半夏生は毎年7月2日辺りに訪れる雑節です。立夏と小暑の間にあって、カラスビシャクという植物(別名:半夏)の生える頃を指す、季節の区切りと言われています(諸説あり)。この頃には「天から毒気が降る」と言われていたせいで、農作業を一時中断したり、山菜を忌避したり、井戸に蓋をしたりと、様々な気の遣い方をしていたようです。
 例え毒気が降らないとしても、梅雨のもたらす湿気によって私たちの内臓はすっかり疲れ気味ですし、食べ物だって腐ったりカビたりが頻繁になる頃合い。「食べること」について注意が必要な時期であることは、間違いありません。
 今の時代、それに加えて更に「飲むこと」にも注意が必要です。この時期は体表のジメジメ感が先行するので、喉の乾きを感じづらくなっています。でも、感覚がないだけで、体は水分を必要としています。湿気のせいでむくみやすいくらいだから、水分は極力摂らない方がよいと考える方もいらっしゃるかもしれませんが、それは違います。
 ちゃんと飲んで、ちゃんと出す。この回転具合が、私たちの体の代謝を正常化させ、熱中症にかからないよう気遣う配慮へとつながっていくのです。
 え?熱中症?まだ夏も盛りじゃないし、暑いところでは色々気にかけているから大丈夫。そんな油断が、最近では室内で起きる熱中症の引き金になっています。特に、ご高齢の方は一層、喉の乾きや室内の暑さに無頓着になりやすいので、周囲にいらっしゃる場合は気をつけたいところです。
 地域にもよりますが、半夏生ではタコが、七夕では素麺が、縁起を担ぐ食べ物として取り上げられています。八本の足で稲の力強い根付きを暗示すると同時に、タウリンやコラーゲンで体をサポートするタコ。中医学的には不足しがちな消化器官のエネルギーを養い、体をそっと冷ましながら、余分な汗が出ないよう調整してくれます。
 近頃はグルテンフリーなどで視野から外れがちな素麺も、こもる熱を冷ましながら慢性の下痢を緩和する作用があるのです。この時期にワサワサと乱れがちな精神を落ち着かせる作用もあり、特にアレルギーがないなら、縁起物としていただくのも良いと思います。
 食中毒が出やすくなる時期なので、新鮮なものを放置せずに食べることを心がけるのが、食養を含む食事一般の配慮になります。もったいないから食べちゃう、ではなく、体がもったいないから止めておく、の意識も大切に。

 (出典:日本中医食養学会編纂「食物性味表」改訂2版)