食養生 〜わたしたちのイマドキごはん〜

梵恵

8 4

立秋の巻

★☆立秋の巻☆★
 蒸し暑い日本の夏が全開、と二週間くらい前に宣言したばかりなのに、暦は8月7日に立秋へと歩みを進めてしまいます。もっとも、節気の到来が現実世界にみっちりと反映されるまでに、大体二週間程度かかるという話は以前した通りなので、大暑から二週間の今、現実世界が正に「大変暑い」状態になっているわけです。
 異常気象や気候変動も起きやすくなっているために、以前のようにシンプルな暑さ寒さが縁遠くなりつつある感もありますが、それでも私たちの身体は律儀に、季節の変動にプラス、私達自身が作り上げている環境にも、対応していこうと頑張ってくれています。
 けれど、ある程度の年齢を重ねてくると、この「対応していこう」と頑張る力が減ってきてしまうのが大きな問題です。簡単に言うと「元気じゃなくなってくる」わけです。特に暑さや寒さの厳しい時期は抵抗力や免疫力が必要になるのに、元気が足りなくなってしまっては、様々なトラブルに襲われやすくなります。
 そこをサポートするのも、食養生の大事な役割。季節に合わせるだけでなく、個々の状態にも合わせていく。本当に細かくやろうと思うと、一人ひとりに対してのカウンセリングが必要になってしまいますが、簡単なキーワードを元に、緩やかな対処をしようとするだけなら、そこまで難しくはありません。
 例えば、暑くなってしばらく経った今、余程冷房の効いた場所にいる時間が多くなければ、体内に溜まった熱を取るトマト、ウリ類、ゴーヤなどは適切ですよね。そして、だるくて疲れやすいのであれば、消化に良い形で炭水化物を取り、内臓を冷やすアイスやビールは、だるさが軽減してくるまで、ちょっと自制する。
 大切なことは、体を冷やすのに必要なものは、冷たいものではない、ということ。体を冷やす性質のものを、なるべく常温で。これが、中医薬膳の極意。
 冷房の効いた場所にいる時間が長い、ずっと座り仕事で固まっている、そんな状態であれば、この時期でもショウガは役立ちます。また、頭が疲れていれば脳に見立ててクルミを、グッタリ疲れていれば腎臓に見立てて豆を、という具合での食養生も有効です。
 そんな駄洒落みたいな、と思われるかもしれませんが、意外なことに、似た形のものには必要な栄養成分が入っていることが、かなり多いのです。先人の知恵というのは、本当に素晴らしいのですよね。
 立秋を迎えたということは、今が暑さを感じるピークだということ。これ以降は、暑中見舞いも残暑見舞いにタイトルを変えます。盛りに盛り、伸びに伸びている木々も、ここからは少しずつ実をつけるために、活動を変化させていくのです。
 私たちも、この辺りから少しずつ、後々実になるようなことにも目を向けていくのが良さそうです。体を調子よく保つためには、いつでも楽しいことを見つけたい、きっと楽しいことがある、そんな好奇心で心をワクワクさせることも必要です。時にそれを、本や映画の中に求めて、知識や疑似体験を増やしていくことも、養生の一つと言えるかもしれません。何せ、脳みそでは現実と妄想の区別がつかないので、楽しくのめりこめるものが見つかれば、遠出せずとも、無理をせずとも、人生の経験値を上げることができるのです。
 ほんと、人体はいつまで経っても、摩訶不思議。うまく付き合っていきましょう。

 (出典:日本中医食養学会編纂「食物性味表」改訂2版)