食養生 〜わたしたちのイマドキごはん〜

梵恵

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寒露の巻

☆★寒露の巻☆★
 彼岸を越えてから、一気に温度が下がった感じですね。夜になれば、寒さで結露も起きてくる、そんな節気。涼しいを越えて寒いと感じることすら出てくる辺り、秋の中でも「涼燥」と呼ばれる時期に入ったことをひしひしと感じられます。
 中医学の区分けでは、「秋」という季節は2つに分けられています。立秋から白露の終わりまでを「温燥」と呼び、乾燥が始まる季節ではあるものの、まだ温かさが残る時期。秋分から立冬の前までを「涼燥」と呼び、乾燥する上に寒い時期です。
 これからの時期は、体の中に蓄積されていた暑い時期の熱も底をつき、体温維持を自分の体内で発生させる熱に頼る度合いが、どんどん大きくなっていきます。このため、これまでの秋よりも一層、体を冷やさないことが大切になると同時に、体を冷やさない食材を使うことが大事になっていくわけです。
 体を温める力は、体を守る力と変換可能なエネルギーでできています。ということは、体を温める力に加え、体を守る力の分までエネルギーがないと、体温を維持できなかったり、免疫力を高められなかったりして、外邪が私たちの体へと侵入してきてしまいます。外邪については、いわゆる最近やウイルスのようなものだけではなく、むしろ「寒すぎる気」「乾燥しすぎる気」という形で私たちの体に入ってくる「邪気」の方をメインに考えるのも、中医学的なアプローチと言えるでしょう。
 体内でエネルギーを効率よく生産し、偏りのあるところをバランスさせることで、私たちは「健康」に近づけます。更に、いずれの時期にも共通の「燥」が表すように乾燥した日が続くタイミングでは、「潤す」食材を体にとりこむことで私たちの日々の健康を保ちやすくなるのです。
 ここ最近、潤す食材として大きく注目され続けているのが、白きくらげ。日本産の白きくらげを、2~3時間ほどかけてゆっくり煮ていくと、キノコとは思えないほど、とろとろで柔らかく、クセのない食材へと変化します。黒蜜をかけてデザートにしても、とても美味しいですし、煮るのが面倒であれば、スープを作る時など煮込む前に入れ込んでおけばシャクシャクした食感が楽しめます。中国産のものであれば、最初からスープ用にするのが得策です。
 また、そろそろ出回り始める百合根もお勧め。地域によって、よく使われたり、あまり使われなかったりする食材かとは思いますが、潤いのためだけではなく、咳を止めたり、わさわさする胸のざわめきを止めたりする作用があります。汁物に入れれば、ホクホクとした食感が徐々に深まる秋の冷えに温かみを添えてくれることでしょう。味にクセがないので、他にも使い方は多様にありますしね。
 寒くなって来たとは言え、本物の冬に比べれば、動きやすく過ごしやすい時です。集中力を生かして、こなせることはドンドンこなして、片付けていきたいところ。しつこい咳や、乾燥から来る熱っぽさに負けてしまっては、もったいないですよね。
 うまく食養ができない忙しさであっても、移動時にはマスクをするとか、利尿作用の強いお茶やコーヒーをがぶ飲みしないなど、不用意に体内の水分を出しきらない配慮をする等、対策はあります。
 何より、笑ってください。ストレスの発散にも、免疫力のアップにも、これほど簡単で効果の高い方法は、他にありません。「お笑いの秋」、今の時代の新しい秋を堪能しましょう。

 (出典:日本中医食養学会編纂「食物性味表」改訂2版)