食養生 〜わたしたちのイマドキごはん〜

梵恵

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立冬の巻

★★立冬の巻☆★
 陽の出ている時間がどんどん短くなり、地中に熱量が追加される時間も短くなっていく。立冬の辺りは、それが顕著になる頃合いです。露骨なほどに早くなっていく夕暮れに、「え、まだこんな時間なのに?」と驚くことも増えるでしょう。でも。今年初の木枯らしも温度は高めだったので実感としての「冬」はまだ先ですし、ここまでの陰気の減り具合が現実に「寒い」になるまで二週間から1ヶ月。私たちには、まだまだ活動的な時間が残されています。
 事実、私たちが秋の終わりを身近に感じるのは、様々な紅葉のニュースが飛び交い始めてからですよね。植物は、十分な日光、水、二酸化炭素が供給されている間は、光合成で栄養を作り出しています。ところが陽光が減少すると、光合成で存分なエネルギーを作り続けることができません。そこで、日照時間が不十分になると葉を養う分の栄養を絶ち、樹木の本体内に貯め込んだ栄養だけで春を待つ体制へと移行するのです。この結果、葉に栄養が送られなくなって葉緑素が消滅することで葉の色が赤や黄色に変わります。更に、乾燥が進むと落葉し、冬には丸坊主になってしまうのです。
 これからは、私たちの体にも同じことが起きていきます。人間なので、変色したり落葉したり、何なら丸坊主になったりするというわけではありませんが、「貯め込んだ栄養で春を待とうとする」こと、そして「末端よりも中心に栄養を集めようとする」ことの二点が、私たちの生命活動にも顕著になってくるのです。
 そもそも、体温を維持するのに夏の3倍以上のカロリーが消費されるという時期、夏と同じカロリーを保てれば、体重は減っていくのが当たり前のようにも思えます。それが減っていかない、脂肪として蓄えられやすい理由は、そうして体を守らなければ、体温を維持できずに凍死するのが自然の掟だったからです。
 快適な人間社会が発展したおかげで、私たちの体も過去の時代に比べれば過カロリーでも脂肪が溜まりづらいように変化してきているはずですが、それでも、この時期は「貯め込む」のが当然で、無理に痩せようとするのは理にかなっていないことになります。
 これからの時期、少しでも体重や体型の現状維持を求めるには、ストレッチや継続的な運動しかありません。そして、寒い時期に弱りやすい「腎」に栄養を与え、必要以上に老け込まないように心がけることが必要です。この「栄養」はカロリーのことではなく、「腎」、つまり腎臓を含む「生命エネルギーの維持と不要物の排泄」の機能をサポートするような、今風に言えばアンチエイジングにつながるような食材の摂取を指します。
 そして、ここから春まで継続的に摂取し続けて欲しい食材が、黒胡麻。
 黒胡麻は秋に特徴的な乾燥から体を守ると同時に、これから訪れる寒さに対して「腎」をサポートしてくれます。既に巷でも黒胡麻の効用は知られているところかと思いますが、一過性の流行で終わってしまうのはもったいなし。毎日大さじ一杯程度、何かしらに混ぜて、どこかしらに使うようにできるのがベターです。
 食養生に効能を求めるのであれば、その肝は「継続」にあります。とは言え、ストイックでは続くものも続きません。週に一度、三日坊主していただければ、週に半分は食べてることになりますよね?そんな緩さで大丈夫です。楽しく続けていきましょう。

 (出典:日本中医食養学会編纂「食物性味表」改訂2版)