開運!七福神占い

竹本光晴

12 2

七福神めぐり:日本橋

 日本には数多くの神社仏閣があります。その数は約16万存在するとか。
 神聖な山や森はもちろん、ビルの谷間、繁華街の裏手、住宅街の一角など、至る所に建ち、そしてその信仰の場は、今も昔も変わることなく私たちの心のよりどころになっています。
 神社仏閣にはさまざまな魅力があります。その魅力を思いっきりレジャー感覚で楽しめるのが、「七福神めぐり」です。

 七福神は福をもたらしてくれる神様で、最も庶民的な信仰です。日本の宗教の特徴は神仏混交・神仏習合と言われるように、神様と仏様が渾然と融合しています。
 七福神もそのひとつで、インド・中国・日本といった国境を越えた神仏が集まったもの。
 巡拝すれば七つの福徳が授かり、七つの災難から逃れられると言われていて、正月はもとより、休日にも御朱印帳や色紙を片手に歩く人の姿が見られます。
 七福神めぐりは江戸時代の初頭に「人心を鎮める行政の方策」として始められたようで、それを考案したのは、徳川幕府の陰の立役者として活躍した天海僧正です。
 天海僧正は徳川三代将軍、家光の命により、宿曜経を活用して、子供の健やかな 成長を願う「七五三」の神事を定めたり、江戸城の鬼門(東北の方向)を守る東叡山寛永寺の創建。
 また、江戸の結界となる江戸五色不動の設立など、数多くの功績を残した僧です。

水天宮 本殿

 今回は以前に2回ほどお弟子さん達とめぐった「日本橋七福神」を紹介します。
 スタートは「水天宮」で参拝しました。水と子供を守護する「水天宮」は、安産・子授け・子育てなどの御祈願で有名な神社。
 その日は「戌の日」とあって、安産祈願をされる方で大変賑わっていました。水天宮は「弁財天」が祀られています。

茶ノ木神社 狛犬、参拝する人が3人

 二つ目は「布袋尊」が祀られている「茶の木神社」です。
 平日の昼間で、しかもビルの谷間に佇む小さな神社なのに、信仰の厚い人たちが入れ替わり立ち代り参拝されていたのが印象的でした。

小綱神社 拝殿

 三つ目は「福禄寿」と「弁財天」が祀られている「小綱神社」へ。

小綱神社のおみくじの入った繭玉

木に吊るされている、小綱神社の繭玉のおみくじ

 小綱神社のおみくじは、本物の繭玉(まゆだま)の中におみくじが入っていて、とてもチャーミングでした。
 おみくじを木の枝に結ぶ代わりに、繭玉を吊るすのも「ユニークだな」と思いました。
 この神社はパワースポットとしても有名で、太平洋戦争では参拝した兵士が、なんと全員生還したり、東京大空襲の際に社殿をはじめ境内地が戦災を免れたりといったエピソードがあるようです。

銭洗いの井 岩に掘られている穴に竹管から水が注がれる、周囲に柄杓が置かれている

 そして、小さな境内には「銭洗いの井」という湧水があり、その水で洗ったお金を日本橋界隈で使うと金運がアップするそうです。
 私にとってお気に入りの場所で、今でも時折訪れています。

松島神社 提灯としめ縄の吊るされた鳥居

 四つ目は「大黒天」が祀られている「松島神社」です。
 関東大震災や戦火により、神社に関する記録等は全て焼失したため、創立については不詳のようですが、少なくとも700年以上前には、この場所にあったようです。
 「松島神社」の鳥居のちょうちんには、「大鳥神社」と書いてあるので、間違えて通り過ぎないように注意してくださいね。その名の通り、11月には酉の市でに賑わいます。

末廣神社 境内入り口の鳥居の両脇にのぼり旗

 五つ目は「毘沙門天」が祀られている「末廣神社」です。
 末廣神社のある人形町あたりは、江戸時代には遊郭があり、末廣神社は吉原の氏神様として信仰を集めていました。

笠間稲荷神社 拝殿 女性が1人参拝している

 六つ目は「寿老人」が祀られている「笠間稲荷神社」へ。
 茨城県にある日本三大稲荷で有名な笠間稲荷神社の東京別社です。境内には狐の像がたくさんありましたよ。

椙森神社 拝殿前 拝殿両側にのぼり旗

 七つ目は「恵比須天」が祀られている「椙森神社」。太田道灌の雨乞い祈願などの記録も残る古社です。

寶田恵比壽神社 鳥居の後ろに社 右隣にコインパーキング

 そして、八つ目は、同じく「恵比須天」が祀られている「寶田恵比壽神社」へ。
 恒例の「べったら市」は、「べったり運」がつくと元禄時代から人気です。

 「七福神めぐりなのに、なぜ八つ?」と疑問に思われる方もいるかと思いますが、それは恵比須天が二か所に祀られているからです。
 このように八か所めぐる地域もあるようで、以前に鎌倉七福神を訪れたときも、確か「弁財天」が二か所で、合計八か所をめぐった覚えがあります。

 江戸情緒が残る日本橋人形町は、私のお気に入りのスポットです。
 最近では老舗店舗から、人気店の新業態など新しさを取り入れた店舗が勢揃いしている「日本橋コレド室町」が有名ですね。
 「日本橋七福神めぐり」は水天宮以外はどれもこじんまりとしていて、他の七福神めぐりと違って、すべてが神社となっており、巡拝は短時間で楽しる手軽さが特徴です。

 また、東野圭吾著のミステリーで、阿部寛主演の映画『麒麟の翼 〜劇場版・新参者〜』の劇中で、中井貴一演じる青柳武明が日本橋の七福神めぐりをするシーンがあります。
 「日本橋七福神めぐり」が事件の全容を解明する上でのキーとして登場します。
 このコラムを読んで「行きたいけど東京は遠くて行けない」と思う方は、お正月にでもこの映画を観賞して、日本橋の情緒と「七福神めぐり」に思いを馳せてみては・・・。

 「七福神めぐり」を通して、ゆるりとお散歩してみませんか?
 その古い歴史や、そして参道や街並みから、きっとあなたの心の琴線に触れるものが見つかるはずです。

神社の朱印が押された色紙